花束みたいな恋をした 感想文④
最後です!私的解釈を含んだネタバレになってます。いろんな面で笑ご注意ください。
恋愛感情がお互いなくなってしまった二人は、友人の結婚式が終わったら、別れることをそれぞれ決意する。
決意してみたらどうだろう。今まで遠慮して言えなかったこと、楽しめなくなっていたことが、意図も簡単に出来るようになった。
初めて観覧車に乗って
ミイラにはひいてたよ
ガスタンクには興味なかったよ
それでもカラオケでは二人の好きな歌を一緒に歌って
なんだ、俺たちは終わってなかった。あの頃に戻れた。そんな風に感じた麦と
楽しいのは今日だけだよ。今日決めなきゃいけないよ、と言う絹。
恋愛感情なんかなくたって、結婚して、一緒にいたい。家族になるなら恋愛感情なんかいらないでしょ、ハードルなんて、下げたっていい。こんなもんかって、諦めながら生きてくのも悪くないと、訴える麦。
なんで恋愛感情がない人と結婚するの?ハードル下げて、やりたくないこともしょうがないと思いながらやるの?疑問をもつ絹。麦の言葉に、説得されそうになるが、その表情に家族になる嬉しさはない。
そのタイミングでやってくる、若いカップル。お揃いのスニーカー、好きなバンドの話をし、お互いのことを考えていたと伝え合う。
相手のことが気になる。相手のことが知りたい。
相手の世界が、自分の世界と重なり合った時、喜びが弾ける。
何かが始まる予感がして、心臓が鳴った。
あれは、出会った頃の自分たちだ。
今、5年分の二人の軌跡が、ひとつひとつ、思い出された。たくさんの笑顔、たくさんの楽しさ、愛おしさ、、それは走馬灯のように、すごい速さで、しかししっかりと、思い出された。それらの軌跡はひとつひとつ、美しい花となって咲き、やがて大きな大きな花束となった。とても美しくて、眩しい。
若いカップルの話を聞きながら、涙が頬を伝う。
眩し過ぎた日々を、絹と麦は二人で生きた。
そしてそれは、「過去」になるということも、二人は理解した。
二人は「大切な日々をありがとう」という気持ちのこもったハグをして、別れることを選んだ。
1年後、お互い別々の恋人といる時に、ばったり出会う。(大人になったからか、ファミレスじゃなかった)。
久しぶりに会った二人だが、言葉を交わすことはない。
二人だけの日々を知っているのは二人だけなのに
頭の中では巡るのに
その相手と、もう話すことはない。
二人の日々が本当に存在していたのか。
確認できる、相手がいない。
そんな時、「二人の日々は存在してたよ」と伝えるように
川沿い
トイレットペーパーと、花束を抱えて、焼きそばパンを食べている、二人の姿がうつっていた。
おわり
ファミレスのシーンは、3回観て3回泣いたシーンでした。菅田くんと架純ちゃんの演技が余りにリアルで、、彼らはなんで泣いていたのか。
私ごとと重ねると、それは大学卒業の時に遡ります。
一番の居場所であったサークルを卒業する。4年間の活動のスライドショーとか後輩が作ってくれたの見て、涙がぶあーーー。
卒業したくないけど、留年してまで残ろうと思わない。(終わりであることを理解してるがあまりに思い出が輝きすぎている)、あの、感覚なんじゃないかと。
とか思っていたら、有村架純さんがインタビューで素晴らしいこと言ってました。
例えば、今回の映画と同じ、有村架純が演じた『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(2016)のヒロインは、「恋」をこんなふうに表現した。
「二度と戻らない時間の中にいるって。それぐらい、眩しかった。こんなこともうないから、後から思い出して、眩しくて、眩しくて、泣いてしまうんだろうなって」
はい。これでした。答えはこれです。
そのあとも、絹の新居が決まるまで、二人の生活は続きますが、吹っ切れたおかげなのか、一緒にご飯食べたり、映画を観たり、する日々が戻ってきます。麦も映画観て笑ってる。良かった!また、暴露話もできたり。お互い遠慮しない生活がようやくできたのかな。
何度も出てくる花瓶に生けられた花の意味があるなら教えてほしい。
絹と麦が住んだ部屋(絹の実家や絹のひとり暮らし?の部屋にも)には、いつも花瓶に花が飾られていました。シーンで違った花が飾られていたので、シーンに合った花言葉をもつ花が飾られていたりするのかな?(深読み)
お花に詳しい人、是非じっくりと観てもらって、解説していただきたいです!(勝手な希望!笑)
麦くんは社会に出て変わったのか?
麦くんは社会に出て価値観が変わった、、とは思いません。人はいくつもの顔を持っています。社会という環境に身を置いたときに、学生の時とは違う面の麦が顔を出し、一時的に色濃くなった、ということだと思います。自分の様々な面を発見し、それらを受け入れ、自分を統合していくことこそが、人生の成長です(あかん。いきなりスピリチュアルっぽいこと言った!笑)。今まで表に出ていた、感性の高さ、純粋さ、優しさ、社会に出て見えた責任感、真面目さ、不器用さ、、また、田舎から出てきた麦にとって、男が養うべき、という価値観も持っていたのでしょう。全てが「麦」なのです。
そう思うと、もう少し二人が辛抱して、仕事が楽に感じたら、自然に学生時代の麦くんも顔を出したんじゃないかなぁ~とちょっと思います。まあ、恋愛感情がなくなったら辛抱も何もないよね。別れなんてこんなものか。
麦の言う通り、恋愛感情ない夫婦はいっぱいいるかもしれません。けれど、結婚してからなくなるのと、結婚する前からないのとでは、話が全く違うよね、と思いました。。
最後、学生の頃の麦くんも顔を出しはじめます。
「あの時食べた焼きそばパンが食べたくなって、ストリートビューで検索した」と語っているので、閉店したことを知らない様子。やっぱりあの時は絹の話が頭に入って来なかったのね。。
ストリートビューで大はしゃぎする姿は、学生の頃の麦と同じ。ほほえましいラストです😊
すっごい長くなったけど、これでおわりです。消化されました!
見に来て下さった方、ありがとうございました❤